- 2025/09/11 (Thu)
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- 2012/05/04 (Fri)
優しい、怖い人
またまた高遠さん。笑
きっと高遠さんはこういう人だろうって考えだすと妄想が止まらない。
きっと高遠さんはこういう人だろうって考えだすと妄想が止まらない。
猫が道路の真ん中に倒れていた。
一目で生きていないとわかるありさまだった。
「その猫、どうしたんです?」
「もちろん、近くの公園に埋めてあげた。役所の人呼んでもよかったんだけど、なんか義務的でさみしいから」
「貴女らしいですね」
「私らしい、ってのがよくわからないです」
「貴女が猫の死骸を運んでいる間、誰か手伝おうと声を掛けてくれたり助けてくれるような人はいましたか? それが現実です」
「私は自分の価値観を押し付けるつもりはないから、いいの。ある意味自己満足」
公園に埋めたのだって、それは時間に余裕があったからだ。心にも。
もし急いでいたとしたら私は――
「高遠さんだったらどうします?」
私なんかとは一味も二味も違う彼のことだ。
もしかしたら猫をマジックで生き返らすかもしれない――それは言い過ぎか。
「そうですね…そのまま見て見ぬふりをすると思います」
「一番言ってほしくなかった答えー」
「話を最後まで聞きなさい」
怒られた。
高遠さんて私よりもちょっとしか年が変わらないのに、私よりぐんと大人っぽい。
私が子供っぽいのかな?
「死んだものは生き返ることはありません。死は生への希望ではなく絶望です」
「……ちょっと待って。なんかわからなくなってきた」
ため息。
「死んだ者のために何かをするなんてナンセンスということですよ」
え。それって高遠さんの過去の出来事とか考えと矛盾しない?
「違います。死した者をただ弔うよりも、のうのうと生きている方々を葬る方が弔いになるでしょう」
「じゃあ高遠さんはその猫には何もしないで、後で猫のために猫を轢いた犯人を殺すの?」
「そうなりますね」
「…猫はそんなこと望むかな」
「さあ。猫もさして人と変わらないんじゃないですか」
「私、あまり高遠さんに人を殺してほしくないんですが」
「それはできない相談ですね」
「ですよねー言ってみただけです」
「高遠さん、高遠さん。今、巷では『猫の呪い』っていうおかしな事件が起こっているんですけど」
夜中、若者たちが車を運転していると急に猫が車道に飛び出してくるらしい。
それも一匹ではなく数十匹もの猫が。
どれも事故が起こるのは見通しのいい道路ばかり。
運よく、すべての被害者が軽傷ですんでいる。
若者たちは口々に「あの時の猫が」「許してくれ」など口走っており不審に思った警察が詳しく尋ねると事故に遭った被害者たちはみな、過去に野良猫を撥ねた者ばかりであった。
不思議な点はもう一つ。
口々に猫が何十匹も出てきたという彼らだが、いくら調べても猫の死骸などは見当たらないのだ。
数十匹が続々と道路に飛び出してきて、仮に避けたとしても一匹も撥ねていないというのはいささか奇妙だった。
「これ、高遠さんの仕業ですか?」
私が確信をもって尋ねると高遠さんはシーと口を押える仕草をし微笑んだ。
狂っているとは思えないほど綺麗な笑みで。
あとがき。
例えば。私の家の前で猫が死んでいたら役所に連絡して引き取ってもらう。それかビニール袋にいれて公園に埋める。でも、急いでいるとき道路に猫の死骸があったとして、どれほどの人が弔ってあげるのかなぁ、とした疑問から。
あと高遠さんだったらどうするか、って考えた結果。こんなわけわかんない話になりましたw
高遠さんはきっと猫のために復讐する道を選ぶかなぁと。なんとなくこの人、動物だからとかいう理由で命を軽視していない気がする。
猫の命も一つ。人の命も一つ。
なんとなく高遠さんは猫が好きそう。
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